2010年05月24日

社会人になって観た映画「砂の器」

  この作品は松竹映画ですから封切りは「松竹東洋座」でまず上映されたはずですが、私は「スカラ座」で観た記憶が鮮明に残っています。だから封切りで観ていないのかも知れません。
  しかしこの作品はそれから何度も観ることになります。DVDでも観た記憶もあるくらいですから、よほど出来が良かったのでしょう。それ程価値がある作品だと思います。
  今更ながら、この映画について述べることはありませんが、映画は原作を遙かに超えて日本の映画史にも残る作品になったと言えます。
原作も結構長編で、私はこの映画が出来る前に読んでいましたが、映画の主題のひとつである、親子の情愛のシーンはほとんど書かれてはいませんでした。私には記憶にありませんでした。
しかし映画ではそこにスポットを当てて、切っても切れない親子の絆を主題にして描き込まれていたのです。
脚本は橋本忍と山田洋次です。この偉大な二人の脚本家によって、単なるサスペンス映画が人間の奥深い心のひだまで迫っていました。これは特筆すべき脚本でと言えます。
友人が言っていましたが、橋本忍が「この映画はこのたった数行の放浪の文を映画の主題に置こう」と言ったそうだと語ってくれたことがあります。そこを縦糸に彼の犯行が行われていくのです。
  ハンセン病という病気は小学生の時に担任の先生がその病気や隔離した島があることを教えて貰った事を覚えていましたから、原作や映画を観たとき深く心に残ったことを覚えています。
だからこの映画は余計に心に響いたのだと思います。
私はこのハンセン病という病気について詳しくは調べませんでしたが、そのずっと後にこの病気の誤った偏見と差別によって患者の生命と尊厳を奪った歴史が作られました。
やっと国家は謝罪しましたが、多くの人たちがその犠牲になったことを知りました。
  映画では最後にこの病気のことを文字にして流していましたが、その時点ではまだこうした歴史が続いていたのです。そのことを深く反省すべきだと思います。
  映画は不満な所もありました。血のついたシャツを夜汽車でばらまくシーンなどは、原作でもありますがちょっと考えられない事です。それで事件は大きく進展するのですから。
それに伊勢に手がかりを探るシーンも少し無理があるような気がしましたが、やはりそんな事を凌駕する親子の放浪シーンは圧巻でした。
映画はそのシーンを迎えるとがらりと変わります。その圧倒的な情愛で観ている私たちの琴線を揺さぶるのです。
  ともあれこの映画を書けば止まらなくなりますが、野村芳太郎監督のベスト作品になると思います。
  その後、幾度かこの原作はドラマ化されましたが、この作品に勝るものは表れませんでした。
posted by ヒロシ・マックイーン at 17:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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